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沼 初枝 教授

Hatsue Numa 臨床心理士

あなたが、あなたに出会うこと

沼 初枝 教授

「わたしはどんな人間?」

誰でも一度は自分に問いかけたことがあると思います。
その問いをさらに探求するために、哲学にすすむ人、多くの書物を手にする人、人とのかかわりから見いだそうとする人・・・。
そして心理学を学ぼうとする人。

心理学は、「人間のこころ」について客観的科学的に研究する学問です。
さらに臨床心理学という学問は、人間のこころの問題に対して、極めて具体的で実践的な目的をもっています。「人間の悩み苦しむこころ」を理解し援助する手立てとして、まず心理療法やカウンセリングや心理検査があり、臨床心理学という学問となったのです。
「人間一般」についてのこころの働きや原理を研究課題とするのももちろんですが、それ以上に「生身の人間のこころの問題」により焦点をあてて、学問として発展してきたのです。

私は、学生時代、人間を理解する方法として、カウンセリングやロールシャッハ法と出会いました。私のなかの「悩み苦しむ自分」をより知りたいと思ったからです。それと同時に「人を理解したい」と思いました。熱心な指導教官に出会い、カウンセリングとロールシャッハ法を学び、それらは私が漠然と考えてきた「人間理解」にぴったりと当てはまりました。
以来、立正大学の教員になるまで、精神神経科の臨床心理士としてずっと「悩み苦しむ人」にかかわってきました。自分の持てる限りの力をもって、一人の人間を理解するのだ、という学生時代の思いは今も変わらないと考えています。
それは「私が、私に出会う」ことでもあるからです。

現在の研究のテーマ

  1. 投映法(ロールシャッハ・テスト)の基礎研究および臨床研究
  2. 気分障害の集団認知療法効果研究

投映法の基礎研究および臨床研究

投映法とは「その人が表現するものはその人らしさを反映している。同じ刺激に異なった反応がみられれば、その反応の差異は個人の差異である」という仮説のもと、曖昧で多義的な刺激(木の絵を描いてもらう、インクのシミを見てもらうなど)に対して各人に自由な反応をしてもらう心理検査の一方法です。その反応様式や各人が表現した内容を分析して、パーソナリティの特徴、知覚様式、葛藤のありようなどその人を総合的に理解しようとします。なかでもロールシャッハ・テストは、医療・教育・司法領域など幅広い領域で活用され、臨床心理士が行うアセスメント・ツールとして非常に重要視されているものです。

今までも多くの研究が積重ねられてきましたが、ロールシャッハ・データは時代によって変化するものと時代を超えて変わらないものがあると考えます。まず基礎的研究において、非患者成人のデータを多く収集し、現代人におけるロールシャッハ特徴を捉えようとしています。そうしたデータと比較して、改めて精神障害(統合失調症や気分障害)患者の特徴を明らかにし、臨床場面に活用できるようにしたいと考えています。

気分障害の集団認知療法効果研究

認知療法とは、その人の認知の特徴に注目し、認知の偏りをバランスよく修正することで、症状やその他の社会生活機能の改善をはかる心理療法のひとつです。なかでもうつ病患者を対象とした集団認知療法の効果研究は、これまで欧米を中心に行われ、個人を対象にした場合と同等かそれ以上に効果があると言われています。しかし日本では、集団認知療法の実践や臨床研究を行っている施設が少ないのが現状です。

ある総合病院の精神神経科で実際に行われている、うつ病患者のための集団認知療法プログラムを通して、継続的な効果研究に取り組んでいます。

主な担当科目 シラバス検索

  1. 心理学アセスメント
  2. 精神診断学
  3. 臨床心理学演習
  4. 卒業研究・卒業論文

心理学アセスメント

臨床心理学の大きな三本柱として、臨床心理アセスメント・臨床心理面接(カウンセリングや心理療法)・臨床心理地域援助(危機支援や子育支援など)の実践と研究があります。そのひとつである臨床心理アセスメント(臨床心理査定)とは、問題を抱え悩む人(クライアント) の状態を理解し、必要な心理的援助を与え、将来の行動を予測し、援助の成果を調べるプロセスを意味します。

前期では、アセスメント方法としての心理面接・行動観察・心理検査法の基本と概要を学びます。とくに教育相談やクリニックで行われている心理面接(インテーク面接)について、具体的な事例をとおして面接技術を習得します。さらに、いくつかの心理検査(主に質問紙法) を学生自ら体験してもらい、各自で採点・解釈します。そうした体験を通して、その心理検査の歴史的背景・内容・用いられ方など理解していきます。

後期には、医療・教育・産業などの場で一般によく用いられている各種心理検査を学びます。発達検査・知能検査・人格検査・神経心理検査などの検査の実施方法や解釈について、模擬検査を体験するなど主体的にかかわってもらいます。心理面接や心理検査を通して、アセスメントを総合的に学習し、より深くクライエントの問題やパーソナリティを理解することを目的とします。

●アドバイス
授業への参加姿勢、心理検査の体験を大事にします。 実際の検査道具を使用し、心理検査の手続き・実施・解釈を会得しましょう。

精神医学診断

最初に、伝統的な精神的医学診断の基礎であるドイツ・フランス圏を中心に発展した疾病分類の歴史、フロイトの精神分析をはじめとした異常心理学について概観します。その後、米国を中心に世界で広く用いられるようになった、米国精神医学会(APA) が提出したDSM(精神疾患の分類と診断)の診断基準や診断カテゴリーの基本を学びます。

後期は、伝統的診断からDSM 診断基準への変遷を理解していることを前提に、DSM-Ⅳ-TR における精神障害の分類と診断内容を学んでいきます。さらに、各精神障害の具体的な事例や治療経過を提示するなかで、医療現場における臨床心理士の役割や援助活動についてもお話したいと思っています。

●アドバイス 難しい精神医学用語を理解するだけでも大変です。受講する人はそれなりの覚悟と挑戦の気持ちを持ってください。

臨床心理学科の教員の担当科目は、2010年度のカリキュラム情報です。

ゼミのテーマ

ある年のゼミ
ある年のゼミ

「自ら体験し、主体的な発表とディスカッション」をテーマに演習を進めます。 臨床心理アセスメント(特に心理検査法) についての実践的な体験を大事にし、心理臨床にたずさわる者の基本的な姿勢を学んでもらいたいと思っています。 臨床心理アセスメントに関する理論・事例研究・実験研究など、学生全員が自分の問題意識や関心に基づいて文献検索を行い、研究内容を発表し、その後全体でディスカッションを行っていきます。

●アドバイス
なによりもゼミへの参加度や臨床心理学に対する熱心さを重視したいと思います。こうした内容を考慮し、2年次に心理学アセスメントを履修しておいてください。

卒業研究・卒業論文のテーマ

  • がん医療における家族の代理決定に関する選択要因の検討
  • がん患者への心理的介入について
  • ハラスメントについての心理学的考察
  • 大学生の認知する家族関係と抑うつとの関連について
  • 対人ストレスとアサーション・セルフコントロールの関係について
  • コラージュのもたらす心理的効果及び、自己啓発作用についての一考察
  • 描画法における自己表現について
  • 幼児期におけるバウムテストの特徴
  • 看護師の職場ストレスと死生観の関連性について

ゼミ卒業生の進路

公務員、一般企業が半分以上。
臨床心理士を目指して大学院に進学、精神保健福祉士を目指し専門学校進学。
個性を生かして頑張る(ファッション業界、モデル、スノーボードのインストラクターなど)。

学会活動

  • 日本心理臨床学会
  • 日本ロールシャッハ学会(倫理委員 )
  • 日本うつ病学会(評議員・コメディカル委員)
  • 日本心理学会
  • 日本精神神経学会
  • 日本認知療法学会
  • 日本カウンセリング学会

社会活動

  • NTT東日本関東病院精神神経科・緩和ケア科 臨床心理士
  • NTT東日本関東病院 看護師を対象にしたがん看護研修 講師
  • 明治安田こころの健康財団 ロールシャッハ・テスト研修 講師

最近の研究成果

臨床心理アセスメントの基礎

  1. 臨床心理アセスメントの基礎(ナカニシヤ出版)
  2. 医療場面における心理アセスメントの実際(現代のエスプリ別冊臨床心理査定研究セミナー 至文堂)
  3. 医科診療報酬における臨床心理・神経心理検査-近年の動向と特徴(立正大学臨床心理学研究第7号)
  4. 病院の精神科で働くカウンセラーの仕事(カウンセラーの仕事の実際 培風館)

新入生へメッセージ

一期一会という言葉を大事にしています。

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