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浪本 勝年 教授

Katsutoshi Namimoto

基本的人権の尊重

教員名

「教育とは人間の尊さを打ち立てることである」

これは私の恩師である宗像誠也先生(1908-1970、東京大学教授)の印象的な言葉です
。 学生時代、宗像先生の著書を読み、そこに並ぶ分りやすい、小気味良い、明確な主張に心酔して同じ教育学の道を歩むに至っています。
これまで私は世界各国の、実にさまざまな地域や学校を見てまわりました。
たとえば、ローマの町のなかにある遺跡コロセウム。
世界有数の貴重で巨大な遺跡が、こんなに生活の身近なところにあることに驚きを感じました。日本における「遺跡」との発想では考えられないことです。
日常の生活空間のなかに、自分たちの国の歴史的遺跡があるということ、これもそれ自体で十分な教育的遺産なのです。

また、シェークスピアの国イギリスの学校では、演劇の授業が盛んに行われています。
ドラマを通じて、子どもたちを育てる教育です。
2008年度にはイギリス、ポーランド・ドイツ、オーストラリア、アメリカなど、各国で開催された学会・研究会に出席し発表したりするとともに、世界のトップレベルの大学や、現地の最高裁判所など見学したり傍聴したりしてきました。

こうして海外での教育事情を知ると、日本の教育について広い視野のもとで客観的に見ることができます。
では現在の日本の学校教育は、どのような問題や課題を抱えているのでしょうか。
「子どもの最善の利益」(子どもの権利条約)との観点にたち、教育課程、教科書、学校経営、教育行政等々をめぐる教育のかかえる基本的な問題について、学生のみなさんとともに考えて行きたいと思っています。その際のキーワードは「基本的人権の尊重」です。

現在の研究のテーマ

  1. 教員養成政策の歴史的展開、学校経営の歴史と現代的課題、教育裁判の分析

どんな研究なの?

戦前日本の学校教育には男女の差別がありました。女性は男性と一緒に学校で学ぶことができないという時代でした。学校教育の内容も、超国家主義、軍国主義的なものにあふれていました。
第二次大戦直後の日本の教育は、日本国憲法・教育基本法(1947年)に基づき、自由でのびのびと行われていました。国家権力による教育への不当な介入は排除されたのです。教育は「個性豊かな子どもたちを育てる」人間教育であるはずなのに、現実は、どうでしょうか。本来は子どもの成長・発達に応じた適切な教育が行われなければなりません。

ところが、子どもに教科書を合わせなければならないのに、逆に教科書に子どもを合わせるという学校教育が未だに続けられています。
学校教育の大きな影響を与える教科書の内容については、文部科学省による教科書検定が行われていますが、この検定をめぐっては、「沖縄戦」などをめぐり、いまなお激しい議論が展開されているのです。
また、学校においては、教師の在り方が問題とされるとともに、体罰や日の丸・君が代をめぐる問題が、深刻な解決すべき課題として登場してきています。
そうした中で、不幸なことに多くの教育裁判が展開されてきています。

こうしたさまざまな学校教育をめぐって問題提起がなされていますが、これをどのようにして解決に導いていくのか、法的な見地を含めて調査・研究を続けています。

主な担当科目 シラバス検索

  1. 学校経営論
  2. 学校教育学演習
  3. 教育法学  など

学校経営論1 1~3年生Ⅰ期対象 選択科目Ⅰ

授業風景

高度に組織化された学校の現代学校経営の課題について考察を加える。
学校は、教員以外にもさまざまな職種の職員が存在し、最終的な目標としての「子どもの学習権」保障をめざして教職員が日夜奮闘している教育施設である。
こうした学校教職員のそれぞれの学校における役割をしっかり認識し、学校全体としての創意工夫の上にも調和のある学校経営を展開していく方法について考えていく。

●アドバイス
受講の学生諸君は、各自が学校の校長になったと考えて、学級経営上の判断を行なうようつとめてほしい。新聞を毎日読み、学級経営上の課題を発見するように努力することが求められる。

学校経営論2 1~3年生Ⅰ期対象 選択科目Ⅰ

組織体としての学校を具体的に経営していくに当たって、そもそも学校とはどのような経過を経て今日の姿になっているのか、ということについて歴史的な認識を深めておく必要がある。近代的な組織体としての学校が19世紀末に成立し、複数の教員が学校に存在するようになる中で、職員会議が必要となり、校長はまさに学校の長としての指導性を求められるようになる。学校経営の歴史について学習する。

●アドバイス
校長のリーダーシップの発揮の仕方についてしっかり考えてほしい。

教育法学B、C 2年生Ⅰ、Ⅱ期対象 選択科目Ⅱ

国民の「教育を受ける権利」の保障をもとめて、教育と法との関係の在り方について学んでいくのが、教育法学である、といってよい。
担当者は、杉本判決(1970)、最高裁大法廷学テ判決(1976)及び難波判決(2006)の三大重要教育判決を直接法廷で聞くことの出来た貴重な体験の持ち主であるので、そうした経験を活かした授業を展開する。

教育と法律1、2  3~4年Ⅰ、Ⅱ期対象 自由科目(心理学部開設教職用)

教育と法律とは、一見関連性が薄いように感じられることが多い。
しかし、現実の教育活動を背後から組織し、支えているのは、法律に根拠を置く制度である。本講義においては、教育という広い分野について、法律がどのように規定しているのかの基礎的かつ基本的な概観を行なう。

●アドバイス
積極的・意欲的な学習を期待しています。

臨床心理学科の教員の担当科目は、2010年度のカリキュラム情報です。

ゼミ

3年生から対象。選択必修科目Ⅱ
研究テーマの選択、研究資料の収集と解釈、的確な論文の書き方に力を入れています。

学校教育学演習1A Ⅰ期対象

4年生となって取り組むこととなる卒業論文の執筆について、その基礎的・基本的なことを学び取ることにこの時間のねらいをおく。

●アドバイス
卒業論文執筆の基礎をしっかり学んでほしい。

学校教育学演習2A Ⅱ期対象

●アドバイス
まずは積極的に自分の手で文章を書いてみてほしい。

卒論

学生諸君の卒業論文の質的向上をめざし、積極的に個別的な指導を行う。

卒業生たちの進路

さらに深く研究を望む人は大学院へ。
その他、学校教員、公務員、一般企業などの就職を目指すなど。

新入生たちへメッセージ

①まず学校と子ども・生徒の現実をしっかりと見つめてほしい。
その上で、日本の教育にいま必要なことは何か、を考えてください。

②日本語で文章がきちんと書けるようになることが重要です。論文を書くに当たっては、自分の頭で考え、自分の手で文章を書くことが大切です。
そして、読み手に自分の意図を正しく伝え、かつ読み手に不特定多数の解釈や誤解を与えないような文章を書くようにしてほしい。
出来るだけ早く、小児型や「ケータイ」型の文章から脱してほしい。

学生たちへメッセージ

今、学校カウンセラーの養成が求められていますが、学校とは、どういったところなのか、広い視野に立って勉強することが大切です。
スクール・カウンセラーを目指す学生のみなさんにも、積極的に学んでほしい授業です。

自己紹介


教科書弁護団。右上が私です。


万寿小の頃、私は甲子園を
目指す野球少年でした。

  • 1942年 岡山県倉敷市生まれ。

私は小、中学生の頃は甲子園を目指す野球少年でした。 しかし勉強も比較的よくできたので、中学2年生のとき、担任の先生の強い進路指導・生活指導の影響で「野球」を断念し、「赤門」を目指すことを決めたのです。

  • 1966年 東京大学教育学部教育行政学科を卒業。

東京大学大学院教育学研究科博士課程を経て現在に至ります。

  • 1995年 ロンドン大学客員特別研究員
  • 単なる文献研究のみではなく、学会・研究会の運営や裁判所に出かけて口頭弁論を傍聴するほかに、海外の研究者とも交流を深めるよう心がけている。


米連邦最高裁判所。


エンパイヤ・ステイト・ビル。
幾多の歴史的風景を思い
起こさせる場所のひとつ。


ロンドン大学での学会に出席。

学会活動

  • 日本教育政策学会・会長、日本教育法学会・理事(元事務局長)

その他の研究活動

  • ロンドン大学客員特別研究員、早稲田大学講師

社会的活動

  • 「子どもと教科書全国ネット21」常任委員
  • 教育裁判における証言及び意見書提出など

最近の研究成果

  • 『ハンディ教育六法(2010年版)』(2010年、北樹出版)
    A drastic change in the system of teacher’s licenses in Japan
    (『立正大学心理学部年報』創刊号、2010年)
  • 「新政権下の教員養成政策―教員免許更新制と6年制教員養成のゆくえ―」(『クレスコ』2010年1月号)

主な著書

  1. 『「改正」教育基本法を考える〔改訂版〕』(2008年、北樹出版)
  2. 『史料 道徳教育を考える〔改訂版〕』(2008年、北樹出版)
  3. 『現代日本の教育を考える』(2007年、北樹出版)
  4. 『教育実習を考える〔改訂版〕』(2007年、北樹出版)
  5. 『浪本勝年教育裁判証言・意見書集』(2006年、北樹出版)
  6. 『資料 特別活動を考える』(2005年、北樹出版)
  7. 『資料 生活指導を考える』(2005年、北樹出版)
  8. 『現代教育用語辞典』(2003年、北樹出版)
  9. 『今、なぜ変える教育基本法Q&A』(2003年、大月書店)
  10. 『新版 現代の教育を考える』(2003年、北樹出版)
  11. 『現代の幼児教育を考える』(2003年、北樹出版)
  12. 『現代の学校経営を考える』(2002年、北樹出版)
  13. 『現代の教師を考える』(2001年、北樹出版)
  14. 『教育判例ガイド』(2001年、有斐閣)

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