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中田 洋二郎 教授
Yojiro Nakata
自分を理解し、他人を理解し、そして互いに支えあえる関係をめざして

人は、それぞれに違いがあります。そんな1人1人の違いを理解できれば、人を支えることは、そんなに難しいことではありません。
そのための、第一歩がまず自分自身を理解することでしょう。幸い臨床心理学の理論や方法には自分を知るためのヒントがたくさんあります。この学部で学ぶことで、みなさんはきっと自分自身を深くまた暖かく理解することができるでしょう。
しかし、自分自身を理解できたとしても、それがそのまま他人を理解することに繋がるわけではありません。それぞれの人が、どのような場所や時代に生き、またどのような家庭や環境で育ったのかを知らなければ、自分と相手の違いを知り、他人を理解することは、難しいことになってしまいます。
発達臨床とは、心の発達に障害があったり、何らかの理由で心の発達が歪んだり滞ったりしている状態への援助を行う領域です。それは言い換えると、心の発達の謎を調べ、その発達の障碍を除去することへのチャレンジといえます。そのチャレンジの中で、私は、漠然と自分も人も似たようなものだと思っていたことが否定され、1人1人の違いと個性を理解していくようになりました。それは、人を理解すると同時に自分自身をさらに深く知ることでもあります。
人の心の発達を知る旅にあなたも私と一緒に参加してみませんか。
現在の研究のテーマ
- 発達障害と家族支援
どんな研究なの?
広汎性発達障害や注意欠陥多動性障害(ADHD)など、さまざまな発達障害のある子どもたちの発達支援と、両親、きょうだいなど家族を支援するために、何が必要か、また何ができるかを研究します。
障害がある子どもたちやその家族が、毎日どんなことを感じたり考えたりして生活しているか想像がつきますか?
「大変だろう」、「辛いだろう」、「毎日が嫌になってしまわないか」、そんな暗いイメージばかりが浮かぶ人も多いのではないでしょうか?でも、現実にはあなたと同じように笑ったり、泣いたり、怒ったり、悲しんだり、それぞれの人生をしっかりと生きています。たしかに大変で辛いときも多いかもしれません。しかし、その分喜びも大きいのです。ひょっとすると、私たち以上に人生から得るものが大きいかもしれません。
そういうことをかんがえながら、私は発達障害と家族支援をテーマにして、さまざまな人生のあり方を学んでいます。
主な担当科目
- 臨床心理学概論1B・2B
- 臨床心理学演習
- 発達臨床心理学特論
- 臨床心理査定演習2
- 発達臨床心理学特殊研究
臨床心理学概論1B 必修科目 2年生Ⅰ期対象
- 臨床心理学概論は、臨床心理学の基礎的な理解のために、臨床心理学の歴史や理論や研究方法について概観するとともに、心理臨床の実践において不可欠な自己と他者に関する理解を深める。
人は自分自身の欲望や利益のために、人を傷つけることがあります。しかし、一方で他人のためにわが身を犠牲にする人もいます。人間ほど矛盾に満ちた生き物はいません。人は何を望み、なぜ他人を傷つけるのか、それなのに、なぜ人は人を助けようとするのか。そんな矛盾に満ちた人間について考えてきた学問の歴史を振り返り、その学問が現在築きあげてきた成果について、基本的な知識と考え方を学ぶ授業です。
臨床心理学概論2B 必修科目 2年生Ⅱ期対象
- 臨床心理学概論1Bに続き、臨床心理学の基礎を学ぶ。とくに心理療法や心理臨床の実践についての理解を深める。
Ⅰ期で学んだ知識をベースにして、より具体的な臨床心理学の実践分野について学ぶことへと授業内容は進みます。心の病についての治療法とは具体的にどのようなものなのか、主な心理療法を紹介しながら学習していきます。
●アドバイス
授業は講義とともにグループ討議や演習などを行いますので、主体的に積極的に参加することが求められます。
臨床心理学演習1A 選択必須科目Ⅱ 3年生Ⅰ期対象
心理臨床とくに発達臨床について理解し、臨床心理学における自らの関心および研究課題を明確にする。そのために心理アセスメントの技法を用いての自己理解、学術論文の読解、論文のレビューの書き方、心理学の各研究法の違いと自らの研究テーマへの適性などを、講義を通して理解する。また後期の研究発表と討議の準備としてディベート授業によって討議の基本的な技能を身につける。
臨床心理学演習2A 選択必須科目Ⅱ 3年生Ⅱ期対象
発達臨床における自らの研究課題を特定し、研究を実施するための発表とグループ討議を行う。主として自らの研究課題に関る先行研究を調べ、それらの論文・著書を批判的に読み解き発表する。
その際、文献検索の妥当性、文献の内容理解の正確さ、自らの研究テーマとの関連について受講生間の討議と教師による指導によって検討する。
具体的には…
これまでの授業を通じて「自分はどんな分野に興味があるか」をハッキリとさせて、ひとつの研究テーマを決めます。
そのテーマに沿って、さまざまな研究論文を読んで調べたり、それを発表し、また文章として自分の考えをまとめていくことを学習します。自分で考え、ゼミで討議し、また自分で考え、そしてまとめることによって、将来、社会で活躍するために必要な能力と人間性を培っていきます。
臨床心理学科の教員の担当科目は、2010年度のカリキュラム情報です。
ゼミの特徴
3年生から毎年約14名前後になります。
学習目的は大きく以下の2つが挙げられます。
- 自分を知ること、知られることを怖れない気持ちを養う
- それぞれの考えや感じ方の違いを理解し、それを受け入れることを学ぶ
当ゼミでは、まず心理療法やアセスメントの手法を使って、自分を表現したり、相手を理解したりします。たとえば、毎年、ゼミ生が希望するのは心理療法のひとつである「箱庭」作りです。箱庭を作っていく過程から、また作り終わったときの気持まで、みんなで感じみんなで共有していきます。ひとりひとりの作品を評価したり批判したりするのではなく、その人の感覚や雰囲気を味わって、互いを理解することを大切にします。箱庭を作った人とその作品がみんなから受け入れられることで、それぞれのゼミ生が自分を表現し、他人に対して自分を主張することを怖れないことを目的としています。
それは、また相手に対しての肯定的で建設的なアドバイスができる姿勢を養い、その後に研究テーマを決めたり、レポートを発表し、卒業論文を作成するために、ゼミでの発表と討議が活発になるためのウォーミングアップでもあります。
ゼミには、どんな人たちがいるの?
「発達障害について学びたい」、「子どもの心の問題を理解したい」「非行や少年犯罪について知りたい」etcなど、学びたいことや研究したいことが明確な人もいます。しかし、「子どもが好き」という人、「自分と家族との関係が知りたい」という人、「自分をもっと理解したい」という人も当ゼミに参加します。
ゼミ卒業生たちの進路
約3分の1弱の生徒たちが、より専門的な知識を得たいと望んで大学院へと進みます。
約3分の1前後の生徒たちは、介護・福祉などの仕事に就くために就職します。
約3分の1強の生徒たちは、一般企業への就職を目指しています。
卒論
卒業研究および卒業論文は、これまで心理学部で学んだことのなかでとくに関心をもった領域について、自ら創意工夫して新たな真理を探究しそれを論文にまとめることである。
論文の内容は独善的でなく、学問的に意味のあるものでなければならない。
そのような観点から、授業では各自の研究計画の適性さと執筆の内容や表現の適正さを指導し、受講生はその指導のもとに自らの関心のある領域を論文としてまとめることを目的としている。
●アドバイス
卒業研究および卒業論文は、大学で学んだことの集大成であるとともに、研究テーマが自分自身とどのように関係するのかを認識する機会でもあります。
受講生は指導のもとに自らを見つめ、探究心を失わず最善を尽くして論文を作成することが求められます。

